3時間目は、銀行の仕組みや自分たちのくらしとの関わりについて学びます。始めに先生から、「みなさんが銀行を利用するのはどんな時ですか?」という質問があり、生徒たちから、お金を貯める、振込む、引き出す、借りる、両替するという答えが返ってきました。日常生活では、ATMで給料を引き出すのに使用することが多いが、この給料の引き出しも、給料の振り込みも、銀行が行っていることを確認しました。
続いて先生が「知ろう!学ぼう!お金の使い方」のテーマ4導入マンガを読み、銀行にはいろいろな仕事があること、今回は銀行からお金を借りる人の立場に立って勉強していくことが伝えられました。
まず、銀行の業務の一つが、給料などのお金を預かる「預金」であることを確認してから、班を作って教材のワーク3に取り組みました。公民の教科書「わたしたちの生活と金融」のページから、「預金」以外の銀行の業務を調べます。調べた結果を発表してもらうと、まず「公共料金の支払い」が挙がりました。これは銀行に預けたお金から公共料金を引き落とし、支払先の企業の銀行に送るという為替業務の具体的な例だということが、先生から説明されました。続いて「融資」という発表があり、これは銀行が会社や個人にお金を貸す業務であることが伝えられると、生徒たちからは「全く聞いたことがない」、「ドラマでなら聞いたことがある」、などの声が聞かれました。
次にスライド【図解】銀行の3大業務「貸出」、「為替」を見ながら、「銀行の三大業務」についてまとめていきました。まず一番身近な「預金」のほかに、お金のある人から預かったお金を、お金を必要としている人に貸す「貸出」(融資)という業務があること、銀行にお金を預けることで受け取れる利息と、貸し出されたお金が返済されるときに銀行に支払われる利息があり、その利益の差によって銀行が利益を得ていることが説明されました。もう一つの業務「為替」は、スライドのチケットを購入する場合の図から、現金を直接受け渡したりしないお金のやり取りであることが説明され、生徒たちは教材のワーク5に三大業務を書き込みました。
今回は三大業務の中でも「融資」について、自分がお金を借りたい企業の一員だと仮定して考えていきます。ここでは「あなたと銀行のかかわり」発展授業活動テーマ2のワークシートを使用しました。以下の3つのゲーム会社の中からどれか一つを選んで会社の社員になりきり、自分の会社がどうすればお金を借りられるのか、班で考えます。
A社:業界最大手のゲームソフト販売メーカー(老舗の大手会社)
B社:中堅のゲームソフト販売メーカー(規模は小さいが最近売れ行きのよい会社)
C社:ベンチャーのケータイアプリ開発メーカー(スマートフォン向けゲーム会社)
銀行は、将来業績が上がりより確実にお金を返してくれそうな会社にお金を貸すということを念頭に、会社が融資を受けられるような今後のプランを考えるよう指示さがありました。生徒たちは3社の業務内容を確認すると、自分たちが魅力を感じる会社を班で一つ選び、会社のアピールポイントを考えていきます。各班からは次のような発表がされました。
A社:創業50年の実績をアピールする
B社:海外へ売り込んでいくためのプランや、利益が安定的に上がっていることをアピールする
C社:これからスマートフォンのゲームを使用する人が増える可能性に期待が持てることをアピールする
どの班も、会社の特徴を理解し、どのようなポイントをアピールすれば銀行が融資をしてくれるか、考えた上で将来性を説明することができていました。
ワークを終え、先生からは銀行の立場なら、どのような人に貸したいと思うのか。例えば前時の授業で学習したローンを将来自分たちが利用する時には、どのような人であれば信頼してもらいお金を借りることができるのか。そういった視点を持ち、今後の自分の将来を考えるきっかけにしてほしいとの話があり、本授業の感想をワークシートに記入して授業は終了しました。
3時間にわたる授業を通して、自分たちに関わるお金の仕組みを理解していくことで、生徒たちはこれまであまり考えることのなかったお金について興味を持ちはじめたようでした。